おう、待たせたな。今日は、俺の愛用品の一つ、1940年代のブラックモールスキンのサロペットについて語らせてもらう。
前回はブラックモールスキンのジャケットを紹介したが、今回はもっとレアな一品だ。
ジャケットやモールスキンの生地の説明など詳しく知りたい方は、こちらの記事にまとめているので合わせて読んでみてくれ。
サロペットの歴史
さてサロペットとはなにか?
その前にサロペットとオーバーオールの違いだ。
日本じゃ、「ストラップがクロスされてるか」とか「背中の布がどうだ」なんて細けぇこと言って違いを語りたがるが、実際のところ、そんなのほとんど気にされちゃいねぇんだ。
特に外国じゃ、どっちも似たようなもんとして扱われてる。
じゃあ、なんで二つの言い方に別れてんのか?
これが面白いんだよ。聞くだけでイメージが違うだろ?
その辺をまず、語らせてくれ。
サロペットとオーバーオールの違い
こいつらの起源は18世紀のイギリス。産業革命真っ只中で、工場労働者たちがガシガシ働いてる、そのための実用的な服として生まれたんだ。
そりゃあ、荒っぽい作業に耐えるために作られてたんだから、ゴツくて頑丈で当たり前って話だよな。
で、アメリカじゃゴールドラッシュでオーバーオールが大流行。ゴールドハンターたちが泥まみれになりながら、こいつを着て金を掘り当てようとしたわけだ。
そんで、リーバイ・ストラウス(リーバイス【Levi’s】の創始者)がデニム地にリベットを打ち込んで、「これでもか!」ってくらいタフにしてやがった。
アメリカ人ってのは、何か作るときにとことん強くしないと気が済まないんだろうな。
一方、フランスじゃサロペットって呼ばれてたんだ。
語源はフランス語「Salope」=「汚れた」
可愛らしい響きだけど、実際は汚れてナンボの服だったってわけだ。
で、フランスの労働者たちは、鉄道や建築現場でガンガン働きながら、サロペットを着てたんだよ。
1896年にはアドルフ・ラフォンってデザイナーが手を加えて、さらに広めちまった。
まあ、呼び方は広まった国の違いだったってことだ。
サロペットの進化
だが、ここからが面白いポイントだ。
1930年代、アメリカじゃオーバーオールは依然、貧しい白人や黒人たちが着る、いわば「労働者の象徴」ってやつだった。
だが、フランスじゃ少し違う。サロペットが徐々にファッションアイテムになっていったんだよ。
そして50年代、気づけばフランスじゃ女性や子供までがサロペットを着るようになった。
どうだ、すごいだろ?
汚れた作業着だったはずが、フランスじゃ日常のファッションに溶け込んじまってる。やっぱりフランス人、ファッションの先端を走ってやがる。
結論としては、サロペットってのは、オーバーオールよりも早く日常着として親しまれてたフレンチワークウェア、ってところだな。
シンプルに見えて、深い歴史が詰まってるんだぜ。
ブラックモールスキンサロペットのディティール
早速、俺の愛用する40年代のアドルフ・ラフォンのブラックモールスキンサロペット、そいつのディティールを語らせてもらおうか。
じっくり見れば見るほど、これがただの作業着じゃねぇってことがわかるはずだ。
さぁ、写真も一緒に楽しみながら、その魅力を語るぜ。
Adolphe Lafont Wikpedia
全体のシルエット
まず、全体のシルエットはこんな感じだ。
青のサロペットってのも、フレンチワークウェアではクラシックな定番だ。だが、ここで注意しなきゃならねぇのが、コーディネートだ。
青って色は、一歩間違えりゃ形と相まって、どこか子供っぽく見えることがあるんだよな。まるでちょっとした冒険気分のガキみたいなもんだ。
だが、黒は違うぜ。黒のサロペットは、シックで洗練されてる。キレイめでありながら、しっかりと大人の雰囲気を漂わせてくれる。
これを着れば、フレンチワークウェアが一気にただの作業着から、都会的なファッションアイテムに昇華するってわけだ。黒ってのは万能だ。どんなシーンでもハマるし、全体を引き締めてくれる。
40sのアドルフラフォンのタグ
次にラフォンのサロペットを象徴するディティール、40年代頃の”男女タグ”だ。これがまた、味がある。
タグにはラフォンのトレードマークとも言えるシンボルが描かれているんだが、その風貌が何とも言えねぇんだ。まるで「オレ達はただの労働者じゃねぇぞ」っていう威厳を感じさせる、堂々とした姿だ。
タグの文字も、古めかしいながらも力強いフォントで描かれていて、そこに時代の流れが刻まれてる感じだな。このタグを見るたびに、なんだかパリの下町で働く頑固な職人を思い浮かべちまう。
八の字ジップ
これは、モールスキンのサロペットによくみられる八の字ジップだ。
八の字にカットされた独特なデザインが施されていて、まず見た目にインパクトがある。
サロペットのフロントに大きく配置されたこのポケット、実際のところ、作業中でも使い勝手抜群だぜ。普通のポケットと違って、物を出し入れするときに手が自然にスッと入るんだ。
これ、単に見た目のアクセントじゃなくて、機能性も考えられているってわけさ。
ラッカーボタン
そして、このサロペットに使われてるラッカーボタン、これがまた渋い。
特に40年代頃のサロペットでよく見られるディテールなんだが、時代を感じさせるクラシカルな雰囲気がたまらないよな。
今じゃプラスチックや金属のボタンが主流だけど、ラッカーボタンはその光沢と質感が独特で、どこかノスタルジックなムードを醸し出してくれるんだ。
全体のコーディネート
前に色々モールスキンのことはたっぷり説明したから、今回は余計な解説は省くぜ。細かいことは抜きにして、早速コーディネートの紹介に行こうじゃねぇか。
だらだら解説するより、実際に着てる姿を見てもらったほうが手っ取り早いだろ?
白Tとモールスキンサロペット
白Tにブラックサロペットっていう、このシンプルコーデ。
そうだ、こいつはまさにデフォルト状態ってやつだ。何も飾らねぇ、ただのスタートライン。だがな、これだけで「仕事中です」ってオーラがプンプン漂ってくる。見てる奴に「こいつ、何かやってんだな」って思わせるくらいには、作業感が漂ってるわけだ。
もっとも、実際のところ、俺は何もしてねぇんだがな。笑
ただ着てるだけだってのに、この存在感。黒と白のコントラストが、妙にカッコよく決まっちまう。シンプルだけど、この無骨な雰囲気が良いんだよ。サロペットが持つ力ってのは、こういうもんさ。
デニムジャケットとモールスキンサロペット
次は、米国製のデニムジャケット(LEVI’S)を羽織って、サロペットと合わせたコーデだ。
こいつは、まるでフレンチワークウェアとアメリカンワークウェアがガッチリ握手したような組み合わせだぜ。
デニムジャケットの男臭さに、ブラックサロペットのシックな雰囲気が加わることで、一気にタフさと洗練さが融合する。
まさに東西ワークウェアのコラボレーションってわけさ。
A2フライトジャケットとモールスキンサロペット
これは、米国製のA2フライトジャケットにサロペットを合わせた、もう最強の無骨スタイルだ。
黒のサロペットが持つシックさと、レザーの武骨な風合いが絶妙にマッチする。
レザーの重さとサロペットのしなやかさ、このギャップがたまらねぇんだ。
まるで、戦場から帰ってきたパイロットが、そのまま工場に入って仕事を始めるような、そんなイメージだな。
麻シャツとモールスキンサロペット
さて、これが最後だ。生成りの麻シャツにサロペットっていう素朴なコーデ。
見てみろ、農作業を終えた後、そのまま畑から街に繰り出すような、そんな泥臭い雰囲気が漂ってるだろ?
どこか昔懐かしい感じを残しつつ、現代のスタイルにもハマる。あえて野暮ったく、でもそこに品がある。
これがいなたい農家スタイルの真骨頂だ。畑からそのままパリのカフェにでも飛び込むような、コーディネートだぜ。
まとめ
まず言いたいのは、サロペットってのはただの作業着じゃねぇってことだ。
フレンチワークウェアの象徴でもあり、シンプルだが、そこに詰まった歴史や機能美は奥深ぇ。
それを着こなすってのは、ちょっとした哲学だ。俺たちが求めるのは、ただの「着る」じゃなくて、「感じる」ってことさ。
だから、もしお前がまだサロペットを手にしていないなら、今がその時だ。こいつを着て、何気なく街を歩いてみろ。「あの野郎、ただモンじゃねぇ」って視線を感じたら、それはサロペットの魔力だ。
ワークウェアがファッションになる瞬間、そいつをお前自身で感じ取ってくれ。
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